『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』に登場する虹村億泰は主人公東方仗助の相棒的存在です。高校生らしく一緒に遊びに行ったり、悪巧みをするときもつるんでいます。もちろんバトルシーンでの息もぴったりです。
虹村億泰 は、単純だけどかなりの「イイやつ」
性格は単純で細かいことを考えるのは苦手。乱暴で粗野な言動が目立ちますが、一方で友達思い、家族思いの憎めないキャラクターです。泣いたり笑ったり、感情表現が激しく見ていて飽きない楽しい奴。でも、子どもの頃苦労しているので、金銭面にはかなり真面目。節約と貯金を心がけているという意外な一面も。
使用するスタンドは「ザ・ハンド」。右手でつかんだあらゆるものを削り取る、かなり強力なスタンドです。豪快な億泰の性格にぴったりですね。空間を削ることで瞬間移動を起こす、など応用的な使い方もできます。
億泰は最初、仗助の敵として登場します。億泰の兄、虹村形兆はある理由からスタンド使いを故意に増やしており、億泰はそれに加担していました。
スタンド使いを作り出すためには特殊な「弓と矢」で対象となる人間を射る必要があります。友人の広瀬康一を「弓と矢」で攻撃された仗助は虹村兄弟と対決しますが、戦いの最中死にかけた億泰に対し「クレイジー・ダイヤモンド」(治癒能力のある仗助のスタンド)を使って助けます。ここから億泰と仗助の友情が生まれていきます。
兄へのコンプレックスを抱えながら成長していく億泰
さらに形兆との戦いにも勝利した仗助は兄弟の戦いの裏に奇形になってしまった父親を助けたいという気持ちがあったことを知ります。しかし直後、形兆は自身が生み出したスタンド使い「レッド・ホット・チリペッパー」の音石によって殺されてしまいます。形兆は弟の億安に対して見下したような態度をとるシーンがたびたび見て取られたものの、この場面では弟をかばって死ぬのです。
死んだ兄を見ながら億泰は仗助に訴えます。
[aside type=”boader”]「おれの兄貴は、最後の最後におれをかばってくれたよなあっ 」「仗助、見てただろ?」 [/aside]
第5話のこのセリフには感涙必須です。
その後兄の敵となる「レッド・ホット・チリペッパー」を使う音石との対決(第11話)は億泰の見せ場になります。
父親代わりとして形兆に頼りきりだった億泰。すべて兄が決めてくれたようで、自分で考えたり決断するのが苦手です(だから単純な性格をしているのかもしれません)。戦闘で敵にその決断力の無さをつかれ、ピンチに陥りますが…。
兄へのコンプレックスを乗り越え、成長する姿が億泰の魅力を高めてくれます。
第10話「イタリア料理を食べに行こう」は、ある意味で 虹村億泰 の主人公回?
第10話「イタリア料理を食べに行こう」は仗助と億泰がイタリア料理を食べに行く「だけ」というかなりの珍ストーリー。とはいえこの1話中で話がグルメ漫画になったり、ホラーになったり、コメディーになったりというスゴイ回なのです。この回、イタリア料理を食べるのは主に億泰。出された料理にはじめは難癖をつけるものの食べてみるとそのおいしさにグルメ番組のレポーター並みの解説をつけてくれ、おいしさを表現してくれます。ふだんから感情豊かな彼のこと、そのリアクションの派手さ、そして、単純で頭が悪いというキャラ設定に不釣合いなほどの饒舌な「比喩」をつかった感想が大変楽しい回です。
例えば水に対する感想がこれ。
[aside type=”boader”]「気品に満ちた水」「アルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味」
「3日間砂漠をうろついて初めて飲む水」 [/aside]
またこの回で辛いものが苦手という一面も発覚します。
クライマックスでの活躍にも注目
『ジョジョ』の後半は、杜王町に住む殺人鬼吉良吉影との対決がメインになります。最終バトルでは東方仗助と虹村億泰のコンビが吉良を追い詰めることに。しかしそこで億泰は大ピンチに陥ります。そんな彼の目の前によぎった幻影は…
最後まで兄への依存とコンプレックスを抱えながら、それを乗り越えようとする億泰の姿が見られるはずです。原作者の荒木先生にとって億泰の「兄からの卒業」は作品を貫くテーマなのでしょう。
クライマックスまで泣かせる兄弟の絆と億泰の活躍に是非注目していただきたいです。