『 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期 最終話(第50話)「彼らの居場所」【感想コラム】

いよいよ最終話を迎えた『 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 』。本作の劇中の様々な場面を彩ってきた音楽を集めた、サウンドトラック『TVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」Original Sound Tracks II』が3月29日にリリースされました。

ももいろクローバーZやイヤホンズへの楽曲提供者としての活躍する横山克さんの手掛ける劇伴やBGMが堪能できます。そして、キャラクターデザイン原案の伊藤悠によるジャケットイメージも注目です。

ぜひサントラを手に入れて、この作品の余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。

さてさてさて、最終話も感想、考察、etcをやっていきたいと思います。

『 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 』第50話「彼等の居場所」

ギャラルホルンは鉄華団掃討作戦を開始する。地下トンネルをつかい脱出計画を実行するために、ギャラルホルンの大戦力に立ち向かう、鉄華団の未来は…。

背中合わせの負け戦

鉄華団がギャラルホルンとの戦闘という名の時間稼ぎをしている中で、ついに脱出用のトンネルが開通。オルガの願いだった脱出するための道は開けた……がっそれ以上に地上での戦闘組は悲惨な状況に陥っていた。

ハッシュ、エルガー、次々に増えいていく犠牲者。トンネル開通の連絡を受け、それでも三日月と昭弘は仲間を先にいかせ戦場に残ることを選択する。

三日月たちとはあとで合流する約束だけを信じ、着々とトンネルの爆破準備を続けるメンバーたち、全てはオルガの命令を果たすため。

絶望的な戦力差ながらも、仲間を逃がすために戦う昭弘と三日月ですが、この場面で昭弘と三日月が背中合わせで戦う姿は初期を思い出して、なんだか感慨深いものがあります。

戦闘機体がバルバトスとグシオンの2体だけとなり実質的な勝利を悟ったギャラルホルンはあまり攻めの姿勢を見せてこない。

ギャラルホルンにとって最初から勝ち戦が決まっているようなものな状況でわざわざ三日月や昭弘相手に戦闘を仕掛ける奴もいなかった。

被害は甚大、だがこのままメンバーを逃がす時間を稼ぐことには成功した…と思われていた最後の最後でラスタルは宇宙からダインスレイブを撃ち込むという、非情な一撃が三日月たちを襲う……。

三日月、覚醒

ダインスレイブの一撃を受け、もはや瀕死状態の三日月。

まるで走馬灯のようにかつてオルガと出会った子どもの頃、三日月が「生まれた日」を思い出していた…。

だが、その一撃でもなお三日月と昭弘は倒れない…さ迷う意識の中で、命ある限り立ち上がり戦おうという強い意思、兵器と人血、まさに鉄血の言葉を体現したかのような姿は、敵の目には狂気にうつり本物の悪魔だと畏怖するギャラルホルン…。

リミッター解除しMAを相手にしたときのような圧倒的なパワーと、獣のような圧倒的なスピードでコクピットを握り潰していくバルバトス、敵の攻撃をくらいながらも立ち尽くす姿はまさに悪魔。

狼狽えている部下たちをみて、本来はまだ出ていく予定ではなかった、イオクとジュリエッタ自らが戦場に赴くが、その選択が逆に仇となってしまう。

出てきた相手がイオクだとわかった昭弘は激昂。

これまでの怒りをぶつけるかのごとく、最期の力でイオクを文字通り押し潰し、天国で待つ兄弟達に土産話をもって天に帰っていったのだった…。

しかし、このダインスレイブをくらってからの三日月の覚醒シーンはもう一言「ヤヴァイ」ですね…。
歴代のガンダムの戦闘シーンをみてもこんな戦闘をする主人公機体はなかったんではないでしょうか。

よく、ビーム兵器のドンパチが少ないオルフェンズの戦闘シーンを泥臭いと表現されますが、その最終話の戦闘は泥臭いというよりは、血なまぐささすら漂うまさに獣の戦闘。

終結

 

一方で、三日月と対峙するジュリエッタ。半死半生の状態でなおも戦おうとする三日月をみて、なぜ抵抗するのかがわからない。

大義名分、戦うことに意味を求めてきたジュリエッタには、なんの意味もない負け戦に躍起になっている三日月の行動が理解できない。

これまではたしかになんの大義もなく、なんの意味もなく命令されたことを機械的に実行してきた三日月。戦いの中でしか生きることのできない三日月。

それでも、この戦いにはオルガに与えられた”意味”がある。そのためには引くわけにはいかない。

オルガは死んでもなお守ってくれた鉄華団という居場所を、今度は自分が守るためこと大義名分なんかよりはるかに意味があること。

ジュリエッタが渾身の一撃を加えたときには、もう三日月の意識はなかった。

死に際に気付いた。三日月はすでにオルガが目指そうとしていた場所にたどり着いていたことに、かつて幼いころにオルガが手を取り話してくれた「ここではないどこか」にたどり着いていたことに。

それは、かつて何も持っていなかった三日月を満たしてくれた鉄華団という居場所。オルガと三日月、二人にとっての本当の居場所。

ジュリエッタは高らかに宣言した「アリアンロッド艦隊司令ラスタル・エリオンの威光の下に悪魔は討ち取られた」と、こうして悪魔が打ち取られ、のちに『“マクギリス・ファリド事件”』と呼ばれる一連の騒動は幕を閉じた。

その後の世界

『 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期 最終話(第50話)「彼らの居場所」【感想コラム】
画像引用元:©創通・サンライズ・MBS

ラスタルの思惑通りに鉄華団とマクギリスを倒したギャラルホルンは威厳を回復し、社会的地位の確立に成功する。

そして、セブンスターズによる合議制を廃止しより民主的な組織へと生まれ変わり、ギャラルホルンはこれまでの貴族主義的な組織ではなくなり、奇しくもマクギリスの思い描いた「出身や身分に捉われない社会」へと実現される運びとなりました。

さらに、事件を契機にギャラルホルン火星支部を縮小し事実上の「火星支配権」を放棄し、火星民によって結成された火星連合にゆだねることになる、つまり火星の独立がようやく叶えられました。

こうして、ここでも「誰にも等しく権利を与えられる世界」というマクギリスの求めた理想の一端が叶った形となり、少なからず彼の起こした謀反は様々な人間に影響を与えたということになります。

そして、クーデリアの願いでもあった「誰も戦うことのない傷つかない世界」の実現であるヒューマンデブリ廃止条約も結ばれることとなり、世界は少しずつ少しずつ本当の平和を取り戻そうとしていました。

人間らしさ

この世界が生まれ変わるきっかけとなった事件の裏には鉄華団という、戦うことでしか存在意義を見いだせない生きるために戦う集団がいました。

しかし、そんなことは人々の記憶からはどんどんと薄れていきます…路肩に咲く野花に、誰も気付かぬように。民衆からしてみれば、鉄華団という悪魔をギャラルホルンが討ち取ったという事実だけが記憶に残るだけ。

それでも、彼らの最期の意思は他でもないその悪魔を討ち取った英雄・ジュリエッタの胸に刻まれていました。

大義名分のためなんかじゃない、ましてや野望や目的の為の手段ではなく、ただひたすらに…、生きる為にがむしゃらに戦うという姿は誰よりも『人間らしく』あった。そしてだからこそ、その姿に畏怖していた。
そんな鉄華団に恥じないように生きようと、ジュリエッタは決意するのでした。

未来

『 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期 最終話(第50話)「彼らの居場所」【感想コラム】
画像引用元:©創通・サンライズ・MBS

ヒューマンデブリ条約で、行き場のない子供たちに手を焼くクーデリア、そんな彼女を支えるユージーン、チャド、ヤマギ、ライド、メリビット、etc あのとき三日月とオルガが命を賭して守った鉄華団の面々はそれぞれの未来を歩んでいました。

クーデリアは、「私達の幸せを願って、散っていった家族のためにも 歩みを止めるわけにはいかない」それこそが務めであると語ります。

そしてもう一つ、クーデリアには歩みを止めるわけにはいかない理由がありました。それは、三日月がアトラに宿した”未来”。お父さんそっくりの目つきの悪さに、お母さんゆずりのふわふわ髪。
そんな三日月や鉄華団の残してくれた世界、小さな幸せ、「彼らの居場所」、そしてこの未来を守ることを決意するのでした。

衝撃の連続だった作品

語るべきことは多いけど、どこから消化していけば難しい最終話ですね。ただ小さな幸せを守るために戦った鉄華団のメンバーは本当にこれで報われたのか。

まあ様々な意見はあると思いますが、これも一つのハッピーエンドの形なんではないのかな~と思います。

はっきりいうと二期はかなり迷走した感じはありました。今までの地位を捨てたり、火星の王を目指したり、やっぱりやめたり。

最終話までどうなるのか、どういうエンドに落とし込むのかと思っていましたが、ふたを開けてみる一期で鉄華団が社会的な地位を築いたのとはまったくの真逆のエンド。

主人公である三日月が死ぬというのも、ガンダム作品の中でも例のないことであり、ここまで主要人物が終盤で一気に死んでいくというのも衝撃でした。もうラストは毎話毎話「えーうそー〇〇も死ぬのかーえーうそー」と言ってた気がします。

いずれきちんとした形で総括記事を書かせていただきますが、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』毎週楽しく観ることができた作品でした。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 感想コラムのまとめ

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