原作のある作品がアニメ化される際に、アニメオリジナルの設定が加わったり、アニメオリジナルキャラクターが追加されたり、結末が異なったりすることはよくあります。
人気声優のキャラクターを加えることでDVDや関連グッズの売り上げにつながるなど、アニメはビジネスでもありますので上手に原作を料理できればより魅力的な作品になります。さらにオリジナル展開が発展したものに「スピンオフ作品」というものがあります。
これは、簡単にいうと、キャラクターだけ借りてきてまったく別の作品を作るということです。こうすることでまったく世界観の異なる作品となり、従来の原作ファンに加えて新しいファン層を獲得することが可能になります。
現在放送中のスピンオフ『魔法少女リリカルなのはViVid』
『魔法少女リリカルなのは』は田村ゆかりさん演じる「高町なのは」と、水樹奈々さん演じる「フェイト・テスタロッサ」が活躍する魔法少女もののシリーズで、お二人の代表作でもありますが、もともとは、ゲームが原作のシリーズの特別版をアニメ化したものです。
もともとのゲームは恋愛ゲームで主人公は男。なのははその妹という設定でした。フェイトは登場しません。これをアニメ化して、声優お二人の代表作になり固定ファンも付いたのです。『Vivid』ではさらにスピンオフのスピンオフという感じで、なのはとフェイトは大人になり、「娘」(本当の娘ではないですよ)の「ヴィヴィオ」が主役の格闘バトルものになっています。
このシリーズは曲も有名で、水樹さんの『ETERNAL BLAZE』をはじめ聞いたことがあるものがそろっています。なのはの曲で2回、水樹さんは紅白歌合戦に出場しています。
『魔法少女リリカルなのはViVid』OP『Angel Blossom』
まったく雰囲気の異なる『Fate』と『プリズマ☆イリヤ』
パソコンゲームの有名作『Fate/stay night』をスピンオフ化したものが『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』です。『Fate』本作も2015年4月から最新作第二期『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』が放送されていますが、『イリヤ』は全くタイプの違う魔法少女ものになっています。
実はこの7月から『イリヤ』のほうの新作『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』の放送も決まっています。
主人公の「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」は原作の『Fate』では諸般の事情で18歳以上なのですが、この作品では小学5年生です。魔法のステッキを使って魔法少女に変身して戦います。原作は非常にシリアスな展開なのですが、こちらのほうはどことなく作風はポップです。原作アニメシリーズも『イリヤ』シリーズも好評のため、続編が次々と作られている状況です。ファン層も異なるようです。
(C)2014 ひろやまひろし・TYPE-MOON/KADOKAWA 角川書店刊/「プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!」製作委員会
スピンオフアニメの元祖!『魔法少女プリティサミー』
最後にスピンオフ系のアニメの元祖として『魔法少女プリティサミー』を紹介します。もともとは90年代初頭にヒットした『天地無用!』シリーズの登場キャラクター「砂沙美」を魔法少女にしてみた企画ものCDがヒットしたため作られたアニメです。
TVアニメ版、OVA版、PCゲーム版それぞれ設定が微妙に異なるのですが(『天地無用!』も媒体によってさまざまな設定の違いがあります)、思い切ってストーリーを魔法少女ものにしたため従来のファンとは違う人たちから好評を受けました。
(C)株式会社アニメインターナショナルカンパニー All Rights Reserved
これ以降、「とりあえず魔法少女にしてみよう」という企画が通りやすくなり、どれもそこそのヒットしています。このファン層を開拓できたのが大きいと思います。
そんな感じでスピンオフについて書いてみましたが、ほかにも同じような作品はあります。是非探してみてください。