賛否両極端に評価が別れるアニメ「 ニンジャスレイヤー 」を、極めて中立的な立場から吟味する !

『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』は元々はアメリカの作家が書いた小説が元になったアニメーションです。

それを日本人が翻訳しツイッター上につぶやく形で連載。その後、日本語小説版が出版され、三人の漫画家による別個の漫画化がされています。

アニメ版(フロムアニメイシヨン)はキルラキルやキズナイーバーのTRIGGERが制作。2015年よりインターネット各動画サイトより配信を開始。2016年より地上波としても放送しています。

ツイッターで小説を連載し、ニンジャスレイヤー ・ ファンを巻き込み、マニアックなファン『 ニンジャヘッズ 』を獲得。

二次創作も原作出典明記のみで基本自由としているため様々な展開を見せているのが、ニンジャスレイヤー の特徴です。

ただし、アニメ版については、その大胆な作風から見る者を選びます。絶賛か酷評か。快作か糞アニメか。「To be or Not to be」状態なのが現状です。

(ちなみに私は、『 ニンジャスレイヤー 』原作、コミカライズ、WEBアニメを読んでも見てもいません。もちろん、『 ニンジャヘッズ 』でもない申し訳ないほどに ニンジャスレイヤー  初心者です。)

なにはともあれ、『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』のストーリーは?

冒頭でも少し述べたように、『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』はアメリカ的発想の忍者ならぬニンジャが活躍するお話。

大気汚染により昼なお暗く酸性雨降る、治安が超悪化してしまった未来の日本。その首都である人工島ネオサイタマが舞台になっています。

ニンジャ同士の抗争に巻き込まれて妻子を殺されてしまったフジキド・ケンジ。

自らも瀕死の状態となるも、全てのニンジャへ憎悪を燃やすと言うナラク・ニンジャのニンジャソウルを得て復活。

ニンジャを殺す者。「 ニンジャスレイヤー 」として、妻と子の仇である組織ソウカイ・シンジケートの壊滅とソウカイ・ニンジャ抹殺へと向かいます。

様々な要素を含むストーリー展開

ニンジャの師匠ドラゴン・ゲンドーソー、その孫娘ユカノを巻き込み、ジャーナリストを名乗る謎の女性ナンシー・リーとの共闘など、様々な要素を含み物語は展開していきます。

ネオサイタマの全てを掌握しようとするソウカイ・シンジケートの首領ラオモト・カン。その右腕懐刀とも言えるダークニンジャ。

彼らは利用価値が無いとわかると、味方であろうと切り捨てる極悪非道。

ニンジャスレイヤー はソウカイ・シンジケートの差し向ける刺客を次々と切り倒していきます。

ニンジャスレイヤー は妻子に手をかけたダークニンジャを倒せるのか?ネオサイタマを牛耳ろうとするラオモト・カンの野望を阻むことが出来るのか?

血が血を呼ぶ近未来サイバーパンクな復讐物語です。

ニンジャスレイヤー決め台詞「 ニンジャ殺、すべし! 」を掲げて、容赦なくニンジャを狩りまくります。

丁寧さとはまるで逆な作りの『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』だが・・・

最近のアニメでは好評価を得るための重要条件に、ストーリーが丁寧。登場人物を一人一人丁寧に追っている。丁寧な作画などがあります。

間違いではないとは思いますけれども、全部丁寧と言うのは想像の余地が無く、本当に面白いのか?ってことにもなるのではとも思うのです。

そこへいくと、この『ニンジャスレイヤー(以下略)』は丁寧さの真逆を行くスタイルです。

絵は動かない。表情もほとんど変わらない。ナレーションが説明にすらなってない時もある。

そんな余白だらけ、見る側の想像力が介入し放題!

そう、これは、あえて省略して「おまえら想像しろ」と言う挑発的挑戦スタイルのアニメなのです。

日本には省略の美と言う物がありますよね。誰が言ったか、すみません覚えていませんが。俳句とか浮世絵とか。

省略したからこそ伝わってくる物があると思います。強い復讐心と人間としての心とで揺れるニンジャスレイヤー・フジキド。

彼の愛する者を失った心情は、多くを語らないからこそ伝わるのではないか。そう勘ぐらせてしまうストーリー構成に、仕組まれています。

首は折れ、足は千切れ、あたり一面が血の海。『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』バトル現場

バタバタと人が死ぬのも、『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』の特徴です。例えば悪役は次々と首や腕を飛ばし、二つに裂かれ、大流血して息絶えます。

この描写をアニメで丁寧に書き込んでしまったらどうなるでしょう。戦闘シーンはモザイク処理が必要になり、三国シーンはブルーレイの映像特典になってしまう事でしょう。

ま、それはそれとして、

そう言う血みどろな気持ち悪さが目を引くと、『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』の本筋とは違うところへ作品が行ってしまうと思うのです。

そこで気持ち悪さを抑えつつ、その背景にある無機質な殺伐さを表現する。それはチープなフラッシュ作画だからこそ、上手く表現出来ていると言えます。

チープなフラッシュ作画。でも、BGMと声優がとってもカッコいい。

ちなみに、この『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』。絵はチープですが、音にはしっかりこだわっているアニメです。

声優の渋いチョイスしかり、声優の演技しかり。脇役が豪華なことになっています。ちなみに私が一番好きなのは、シルバー・カラス=サン。演じるのは藤原啓治=サン。

ネタバレなことは書きませんが、ニヒルで渋過ぎます。抱かれてみたいニンジャです。

さらにBGMからエンディングに至るまで音楽もカッコ良く、世界観を表しています。このこだわりは手抜きや低予算ではない証拠なのではと思わせたりします。

 

ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン
画像引用元:youtube.com

 

低予算で製作された本作品だが・・・

確かに低予算で手抜きな問題作かもしれません。

しかし、私はこの作品は作品の持つ世界感の表現に真剣に挑んだ快作なのだと思います。ニンジャスレイヤーを表現するために、このスタイルをTRIGGERは選んだ。

見たことがないと言う人は一見の価値はある(もしくは一見で激怒するのどちらか)と思います。

ただ一つだけ間違いなく言えることは、

『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』で使用しているこの表現方法。同じことを狙って同じ作り方をした作品が今後出てきたとしたら、それは多くのユーザーから「駄作認定」を受けてしまうという事です。

このアニメ表現手法においては、2番目の成功はまずありません。「ネオサイタマ」というワードを、周りに気兼ねなく使えるセンスがあれば別ですが・・・

ニンジャスレイヤー・フロムアニメイション公式サイト

アニメの題名:『 ニンジャスレイヤー ・ フロムアニメイシヨン 』
作者:ブラッドレー・ボンド / フィリップ・ニンジャ・モーゼズ
シリーズディレクター・シリーズ構成:雨宮哲
主な出演:森川智之、速水奨、斎藤千和、雨宮天、種田梨沙、津嘉山正種、玄田哲章、ゴブリン、ほか
製作会社:TRIGGER
アニメ公式サイト:http://www.ninjaslayer-animation.com/
公開日:2015年4月(インターネット各動画サイト) / 2016年4月(地上波)
上映時間:1話15分 全26話(地上波放映2話づつ

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