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映像化不可能と謳われた「『物語』シリーズ」のヒットと『シャフト』の映像技法【前編】

鬼才作家『西尾維新』が生み出した小説 物語シリーズ 、その一つである『憑物語』のアニメが今年の年末にTVとネットの同時放送することが決定した。現在公式サイトでは第一弾のPVが公開されている。
映像化不可能な小説というコンセプトの基に書いたという「西尾維新」の紡ぐ世界観をメディアミックス化しようと「西尾維新アニメプロジェクト」が発足して5年が立とうとしている。
2009年にアニメ『化物語』が放送を開始すると空前の大ヒットを巻き起こし、これまでに『物語』シリーズだけでも数作品、さらには『刀語』、『めだかボックス』のメディアミックス化を実現している。
また、『物語』シリーズの第一作である『化物語』の前日譚にあたる『傷物語』の劇場映像化がすでに決定済みと、「西尾維新アニメプロジェクト」の終息はまだまだ迎えそうにないようだ。
この『物語』シリーズはDVDやBDの売上だけみても深夜アニメとしては異例の売り上げをたたき出している。
空前の大ヒットを記録した事由を『物語』シリーズの魅力と共に探っていきたいと思う。

『物語』シリーズとはなんだ!?

そもそも”『物語』シリーズ”とは、西尾維新の同名ライトノベルやそれを原作とするアニメ作品の総称である。
『化物語』、『偽物語』のように『○○物語』というメーンタイトルを冠しており、現在で10作品近くがアニメ化している大人気シリーズである。
ただの高校生だった『阿良々木暦』が春休みに”吸血鬼”を助けたことで、自らも吸血鬼と化してしまったことから物語は始まる。
怪異は怪異を呼び寄せるという言葉通りに、吸血鬼という怪異に成り果てた彼の周りでは日常では考えられない不可思議な出来事が起こっていくようになり、暦が中心となり怪異に纏わる事件を謎解きしていくというお話。

畳み掛けるようなキャラ同士の掛け合い

この『物語』シリーズの魅力でもあり、最大の特徴とも呼べるのがキャラ同士の会話劇ともいえる掛け合いだろう。
原作のライトノベルでも全400ページ近くあるうちのほとんどがキャラ同士の会話だったり、ときには数十ページ近くを割いて暦が年端もいかぬ怪異の少女を追い掛け回すという展開がある。
もちろん、ただの会話劇ではなく何気ない会話の中に伏線がはられていたり、後々の展開に影響していたりする言葉がするっと紛れ込んでいたり、通称『西尾節』とも呼ばれる言葉遊びが随所に盛り込まれているあたりがさすがだろう。
アニメの中でもこの会話劇は健在だ、中でも『偽物語』の1話目は、上述の数十ページ近くを割いて幼女を追い掛け回す描写がアニメ化されてほぼ1話分を使うという、まさかの展開に驚かされたがまさに『物語』シリーズの醍醐味だろうという感じさえした。
そんなまさかの展開のアニメを作り出しているのが、独自の演出で有名な『シャフト』である、次回ではこのシャフトの映像技法について迫ってみたいと思う。

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