アニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」第12話『負けざる戦士』【感想コラム】

アニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」第12話『負けざる戦士』 あらすじ  

パニックと万年に起こった悲劇を聞いたアイは、エッグの世界でのアンチとの戦いでも、レオンを出さずに応戦しようとしていた。エッグを割ることもままならず劣勢に立つアイ。その様子をモニターしていたアカは、アイに代わってレオンを喚び出し、ミッションの遂行が最優先だと指示する。葛藤しながらもエッグを割るアイだが、エッグから現れた者、そしてワンダーキラーは…。

謎は残っているけど……

まず初めに…12話で最終話…ではなく特別編の放送が6月に決定しました!まあおそらくは8話で突如として挟まれた総集編の影響でずれ込んだんでしょうか…。 本当の結末は先送りといった感じでしょうかね。さすがにあと1話で全部がうまくまとまるのかと思っていましたが…。

とにかく、それを前提として12話の感想を書いていきたいと思います。

前回でアカ、裏アカの過去、フリル、死の誘惑の誕生と様々なことが発覚はしたけれど、その分まだまだ謎も多い今作。 冒頭もなんとも暗い雰囲気からスタート。 人間関係がうまくいっていなかった4人がひょんなことから、いつしか固い絆で結ばれていましたが…その絆ももろく崩れます。 「ハイフン」「ドット」の登場でトラウマを与えられたリカは桃恵たちに八つ当たりをして、復讐心に囚われてしまったことでアカたちの力でエッグ世界に入ることを拒否されてしまいます。

そして、同じくトラウマを埋め込まれた桃恵は逆に、戦うことを拒否。さらにはアイに悪態をつくようになってしまいます。 一方のねいる。アカや裏アカの過去を知っていたり、ジャパンプラティの一員だったりと明らかになにか裏を知っていて黙っている節が強い彼女ですが、今回の件では前の彼女に戻ってしまったかのように無関心を貫きます。 いつしかみんなが見ている方向はバラバラになり、4人の関係は破綻してしまっていました。

大幸せ

そんな中でもアイの戦いは続きます。 桃恵やリカの現状を知っているアイはレオンを使わずに一人で戦うことを選択しますが、アカたちの力でレオンは強制的に出撃。 エッグを割ることが最優先だと促されてエッグを割ると…中から出てきたのは大戸アイでした。 エッグから出てきたアイは、9話で寿が指摘したようにパラレルワールドの存在。

人が重大な決断をしたとき、あるいはしなかったときに運命が分岐するんだとアカたちは語ります。 パラレルワールドのアイは、自身のオッドアイのせいでいじめられ、小糸に出会うことなく自殺した、“もしも”の自分。 パラレルワールドのアイから、自殺せずに友達と過ごす人生を送っている今は「幸せなのか?」と問われますが、アイ思わず涙をこらえることができませんが「大幸せ」と答えます。 そして、「強くなったんだよ」と。 ミテミヌフリを倒し続けてたどり着いた先は……プール。そのプールこそがパラレルワールドのアイが自殺した場所でした。 パラレルワールドのアイは、アイに「小糸ちゃんはどんな子だったか」を聞いてみます。 アイは迷わず「特別な子」と答えますが、実は小糸ちゃんについてはまったくなにも知らないんだと顔を伏せます。

そこへ、顔に絵の具を脚のようなに付けたおぞましい姿の沢木が現れます。 ワンダーキラーとして現れた沢木は、相手を溶かし尽くす絵の具を噴射し、アイたちを追い詰めてきます。 しかも沢木はアイの攻撃をワープして避けるというチート能力付き。アイの初恋の相手だった沢木は心無い言葉で、さらに追い詰めようとしてきます。

「あんたは私の中の疑い、疑念が作り出した怪物だ。本当の先生はこんな奴じゃない」 ワンダーキラーの沢木が、プールの中に突き落としたアイたちに向かい青の絵の具を垂らす。 すると、なぜか制服に着替えたアイの前に小糸ちゃんが姿を現す。

かまちょからの卒業

これもパラレルワールドでの出来事なのか、本当の出来事なのか、舞台が曖昧なまま物語は続く。 小糸に手を引かれるまま走り出すアイ。 そこに沢木が諭すように語りかける。 沢木は小糸やアイが自分に好意を寄せていることには気付いている。 子どもの恋愛感情は純真無垢で、それ故に大人の愛よりずっと脆くて儚くて美しい。

でも、やがて二人は大人になって心が汚れていってしまう…。 『だから大人になる前に死んだ方がいい。そう思わないかい?』 悩みなど存在しない世界に旅立つことこそが幸せなんだと。

……ワンダーキラーやエッグの少女の甘い言葉に、リカは負けそうになりましたが、アイは違いました。 小糸やパラレルワールドのアイに、自殺したことを「後悔しているんでしょ!」と強い言葉で“死の誘惑”に打ち勝とうとする。 その言葉を聞いたパラレルワールドのアイは「お母さんに会いたい!」と本音を吐露します。 本音を引き出したアイは、小糸の手を離し駆け出します “死の誘惑”に打ち勝ったアイは覚醒、久々の「トサカに来たぜぇ」も炸裂!! 平行世界の壁をぶち破ったアイだったが……なおも沢木はアイたちを責める。アイの母親と自分が好き合っていること。初恋の人物である沢木と自分の母親がくっつくという“汚さ”をこらえて それでも、大好きな母親を応援するんだという気持ちで、沢木の死の誘惑を断ち切る。

「かまちょの私はもう卒業した。信じる…じゃないと誰も愛せないから」

そういってパワーアップした武器で、沢木を、なにより自分自身の呪縛のような思いを斬ったアイ。 そしてアイは見事ゲームクリアとなる。

物語の結末は…

ゲームクリアしたことにより、小糸ちゃんは復活。 しかし、例に漏れず復活した小糸もどこかに消えてしまう…。 アイは小糸を救ったことで、「本当は小糸が死んだ原因を知りたかったわけじゃないのかも」と思うようになります。

同時に、アイは小糸に出会わず母親に対して応援する気持ちがなくなってしまったもうひとりの自分自身を救いたいと思うようになります。 そこに現れたのは“死の誘惑”を具現化した存在。

「ハイフン」「ドット」に続いて現れたのは、「キララロドリゲスマチュード18世宵の明星SSフラン」なんともふざけた名前。 「キララ」の襲撃をモニターで見ているアカと裏アカ。結局のところアカも裏アカも、4人の生死よりも自分たちがひまりを救うことを目的にしているんじゃないかということを言及しますが…。 そんな中、キララはブーメランでアイのオッドアイをえぐり出す…。

初撃で吹き飛ばされたアイを見て、私も役に立ちたいとアイをかばい、奪われたのは、パラレルワールドのアイの左目…。

アイは、自分自身をかばってくれたアイに「ありがとう」と告げます。 ラストには成長したアイ…?の姿があり、物語は特別編へと続くのでした。

残された謎

うーーん。いろいろな感想で見ますが…一番はやはり最終回と謳いつつ、すべての謎がまだまだ投げっぱな状態になっていること。悪く言えば「肩透かし」。 1話から非常に高いクオリティをキープしていましたが、ツイッターではこの12話は放送日の昼まで作業をしていた様子。相当切羽詰まっていたようです。 まあ6月に本当の最終回が待っているならそれを待ちましょう。

そして、今回はアイと、もうひとりのアイが出会うというまさかの展開…ですが9話で寿がパラレルワールドの世界線を示唆していたので、答え合わせのようで、「なるほどな」といった感じでしたね。

一番この話で描きたかったところはやはり、アイの成長の部分、1話、2話では自身なさげにフードをかぶり、前髪で顔を隠したまるでもうひとりのアイと同じような人生を歩んでいたアイ。

そこから、エッグ世界での戦いを通し、自分は幸せ、そして強くなったと言えるようになったことが、12話で一番描きたかったことでしょう。

残っている謎を整理するならば……。

・小糸の死の真相

→パラレルワールドのアイの言動や沢木の言動を考えると、やはり小糸の死には沢木が関わっている可能性はほぼ間違いなさそうではありますが…。 エッグ世界での出来事がいったいどこまで真実なのかが謎のところです。 そもそも今回登場した沢木=現実世界の沢木とは真逆の人物であり、本当の沢木はあそこまでクズではなく自殺したアイが思う、誇張した沢木がワンダーキラーとして現れたというのは分かります。

しかし、これまでの話をおさらいすると……。 ・小糸は沢木が好きである ・しかし、沢木が好きなのはアイの母親であり、その娘のアイは母親に似ているという理由で、絵のモデルに選ばれるほど大事にされている。 ・そんなアイを利用し、沢木に近づこうとする小糸 ・エッグ世界で小糸はアイに執拗に自殺を勧めてくる。

さらに今回、ねいるが小糸に対して「嘘の友達」いっているあたり、小糸がアイに対して嫉妬心や妬みを持っている人物であることは明白ですね。 小糸はアイに対して沢木絡み恨みをもっていることが原因で自殺したのでしょうか……。

・クリアして復活した人間の生死

→本来、4人はこの死んだ人間を蘇らせることを目的にエッグ世界で戦っていました。しかし、ゲームクリア(そもそもクリア条件も不明)した段階で彫刻になっていた人たちは復活を遂げますが、触れることはできずその生死も不明なままです。

そもそも死の誘惑でトラウマを与えられた二人が、「ハイフン」や「ドット」のことばかり気にして、本来の目的である助けようとしていた人物に触れないのもわからないです…。

そもそものエッグ世界での戦いでの死んだものを復活させるというのは“餌”というか、嘘のようなものなのでしょうか…。

・ねいるについて

→3人はゲームクリアの描写がありましたが、唯一ねいるだけはそのような描写がありませんでした。そもそも妹のためでなく自分のために戦っているといってるねいる。

寿を自らの手で生命維持装置を止めたことが、ある種のゲームクリアということなのかもしれません…?いやよくわからんな…。やはり気になるところ。

・ジャパンプラティとは

→ねいるが所属し、ねいるが生まれ、そしてアカと裏アカが立ち上げたジャパンプラティとは一体…。そして秘書とアカたちのつながりは? ねいるが人工授精で生まれたという経緯を鑑みるに、ジャパンプラティを立ち上げた真の目的はフリルに対抗するために天才集団を集めて、フリルに打ち勝つ精神を持った少女を創ることが目的?

・エッグ世界のほんとうの目的?

→最終話でちらりと話題が出た、アカと裏アカの目的。それこそが、娘であるひまりを救うこと?実は、4人を出汁につかっていて裏では自分の娘を復活させることを目的にしていたのでしょうか…? だとすると、クリアした際に目的の少女たちはちゃんと復活している…ということになるのでしょうか。 まだ終わりというわけでなく、6月に特別編があるわけですが、ここからどのような結末を迎え、4人はどのような運命をたどるのか。最後まで見届けたいと思います。

 

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