誕生から20周年を迎え、最新のアニメ技術を用いて7月からネット配信で甦る『 美少女戦士セーラームーン 』。
あれから20年も経ってしまったのか…と自分の年齢を感じながらも、世界中の女の子を魅了したセーラームーンが帰ってくるのは素直に嬉しい。
熱狂的なファンでなくても、漠然とその存在だけ把握している人も多い。当時のアニメやその後のミュージカル展開と、世界に広がっていった。反面、その長さから途中で卒業してしまった人もいるだろう。
セーラームーンがどうしてこれほど伝説的な作品になったのか
もともとは本作の5人目の戦士・セーラーヴィーナスこと愛野美奈子が主人公だった。
「コードネームはセーラーⅤ」をベースに急きょ進められたアニメ化企画。そのために作られたのが本作の主人公セーラームーンである。
その後、アニメに先行するように「なかよし」で連載を開始した。 天体に基づいた戦士たちや、ギリシャ神話をベースとしたうさぎとその恋人となる地場衛の前世は、世界中に受け入れられた。
戦隊モノのようにわかりやすく色分けされ、名前を覚えなくてもそれぞれの戦士たちを即座に把握することができた。魔法少女はサリーちゃんなどがあったが、身近な人の命のために傷を負いながら戦うような女の子は画期的だった。
セーラー服をベースとしたミニスカートでアクティブに戦う姿。それは女の子のみならず、多くの男性もまんまと魅了された。
変身アイテムを掲げて「ムーンプリズムパワー、メイクアップ!」と唱える。すると、その爪先が彩られ、月野うさぎはセーラームーンに変身する。コスチュームが変わっても、ドジでおっちょこちょいな性格は「うさぎちゃん」のままだ。ウルトラマンのように3分だけ特別な力が出るとか、合体や巨大化して敵を一撃で倒せるわけでもない。
そんな泣き虫な一人の女の子が、仲間の為に、自分が与えられた使命から逃げずに戦うセーラームーンはとにかく気持ちがいい。
成功の秘訣は声優にあり?
さて、そんなセーラームーンの成功は、入念に仕組まれた企画や原作の竹内直子の作画の美しさも挙げられる。
一方で、月野うさぎ役の声優・三石琴乃ありきという意見もある。
おっちょこちょいでちょっと頼りないが、時折類まれなる意思の強さを見せる。その強さは決して岩のようなものではない。包み込むように暖かい母性的な強さ。そんなうさぎらしさ全てを持ち合わせた声だと思う。リメイクされたセーラームーンでは、彼女だけ続投された。
これだけ声優飽和状態の業界でも、やはり他は考えられなかったのだろう。
地球規模で配信される「美少女戦士セーラームーンCrystal」
毎週楽しみに待っていたあの頃と同じ「土曜夜7時」。
ネットで世界同時配信というのも、世界中にファンを持つタイトルだからこその選択だろう。
絵柄や主題歌に様々な意見が寄せられている。しかし、トレーラーの「ムーンプリズムパワー…」の声が耳に入った瞬間、鳥肌が立った。
何度聞いてもゾクリとする。わけもなく人を魅了するパワーとは、こういうものを言うのかもしれない。