アニメ『Wake Up,Girls!』に見る現代アイドルアニメの新境地【前編】

Wake Up, Girls! 七人のアイドル
Wake Up, Girls! 七人のアイドル

今や一大ジャンルとして地位を確立した『アイドルアニメ

そんなアイドルアニメ戦国時代を懸命にかけぬけるアニメがある。
今回は、仙台を舞台にした新人ローカルアイドルたちを描いたアイドルアニメ『 Wake Up,Girls 』をレビューしたいと思います。

涼宮ハルヒの憂鬱』や『かんなぎ』などの山本寛さんが2011年の震災を機に、仙台を舞台にした作品を作ろうと企画したのがきっかけの今作。

TV放送と同時に前日譚である0話を劇場公開、主演声優をどこの事務所にも所属しない一般公募から選出するなど山本監督らしい試みがされている。

リアルさにこだわったアイドルの裏と表

作中には大きく二つのアイドルが登場する。
新人のローカルアイドル「Wake Up,Girls」とそんな彼女たちがいつか越えようと目標にする、総勢数百人の候補生を抱えるトップアイドル集団「I-1 club」
この二つの対照的なアイドルを中心にアイドル世界の裏と表をストレートに表現している。

トップアイドルという地位を維持するためストイックにレッスンを続け、毎日誰かが去りまた数人候補生が増えるいつ自分が消えるかもわからない過酷な場所で、
誰よりも貪欲にトップを目指し続ける「I-1 club」

一方で、零細事務所のローカルアイドルである「Wake Up,Girls」レッスンスタジオなんてものはなく、
駅前で自らビラを配り、水着で健康ランドで接客させられたり、初めてのステージでは衣装すらなく制服のまま踊る始末…

誰もが憧れる華やかなトップアイドルの過酷な裏側、そしてローカルアイドルの厳しい実態を顕著に体言したアニメもなかなかないのではないだろうか。
まるで現代アイドルのドキュメンタリー映像を見ているようなアニメだ。

「アイドルは汚さや、弱さも受けれ入れて希望を持つ部分がある、『WUG』では奇をてらわず自然に、必然的に過ちや失敗をしたりという部分を出している」
と監督が語るようにアイドルというものの綺麗な部分を誇張するより、あえて厳しく、汚い裏側の泥臭い部分を表現することにこだわった作品だ。

『WUG』のメンバーは何度もぶつかりあい、何度も失敗し、そのたびに誰かが辞めそうになる。
「I1」のようなストイックさも覚悟もまだまだ足りない、それでもお互いが励ましあって7人全員が一つになって成長していく過程には監督のいう
希望というものを確かに感じることができる、より感情移入して彼女たちを応援したいという気持ちにさせてくれる。

過去のアイドルアニメのアンチテーゼのようなテーマに挑んでいるこのアニメ、アイドルアニメが好きな人には是非とも見てほしい作品だ。

アニメという枠組みに収まらない『WUG』の世界、後編ではリアルの「WUG」から作品の魅力に迫りたいと思う。