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前編の記事では『GUNSLINGER GIRL』という作品の根底にあるテーマを挙げてご紹介しました。

今回はキャラクターの関係を紐解きながら、作品のテーマをさらに掘り下げていきたいと思います!

義体と呼ばれる少女たちにはそれぞれに担当教官がついていて、フラテッロ(兄妹)と呼び仕事から普段まで、ツーマンセルで行動します。
「条件付け」により義体たちは担当教官や政府の人間の命令には絶対に従うように洗脳されており、逆らうと体が拒否反応を起こしていまいます。

アニメはほぼ一話完結の形で様々なフラテッロに焦点をあてて、それぞれのドラマや関係を描いていくのですが、
このフラテッロの関係こそ『ガンスリ』を語るうえでの重要な要素になってくるんです。

「妹」か「道具」か、兄妹たちの関係

「条件付け」は記憶の操作だけでなく、政府の人間に忠誠心も植え付けます、そのため彼女たちは担当教官へ愛情に近いかたちの盲信的な感情がうまれます。
彼女たちは担当教官に褒められることや愛情を注がれることに、最大の喜びを感じ、そのためならどんなに残酷な任務をこなすのです。
彼女たちの生きる糧はあくまで、任務のため、政府のためそしてパートナーである担当教官のためでありそこに小さな幸せを見出しています。

フラテッロの中にも、義体に対してただに仕事のパートナーや道具としか認識しない者や、妹やわが子のように心情をもって接するフラテッロがいます。

特にジョゼとヘンリエッタの物語が最高に切ない…、『ガンスリ』という作品を顕著に表したフラテッロこそ、この二人だと思います。

機械の体と人の心

本当の兄妹ような関係を築いていて、ジョゼは義体であるヘンリエッタにもっと「女の子」らしく生きてほしい、汚れ仕事なんてなるべくはしてほしくないと願っていますが、
ヘンリエッタはジョゼに対し忠誠心を超えた恋愛感情を抱いていてもっと褒められたいという気持ちから一生懸命に任務をこなしていきます。

まさに年頃の恋する女の子という凄く人間味を感じる反面、彼女はジョゼのためにと思って積み上げた死体の数を覚えているんです…
「女の子」らしく生きてほしいというジョゼの願いとは裏腹に、体は機械で出来ていて、銃弾をくらったって生きているどうしたって普通の女の子じゃない自分の体と、
義体と担当教官という報われることが絶対にないことがわかっている恋愛感情に悩み苛まれながらも、ジョゼを守ることが出来て今の私は幸せですと笑顔を見せます。
「条件付け」によって植えつけられた忠誠心によって、害をなすテロリストたちを殺すというジョゼの願いとは真逆のベクトルでしか愛を表現できない…

もうめちゃくちゃ切ないです…

体も記憶も感情も生きる糧さえも「機械」と「条件付け」と「担当教官」という造られた幸せ。
それでも彼女たちにとっては一度失った人生に再び、光を与えてもらっていることに感謝し、健気に生きているんです。

作品自体は重い作品ですが、ぜひこのアニメを見て自分なりの答えを探してみてください。

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