熱血アニメ列伝その33 僕が勝つって僕より信じてよ!『 ユーリ!!! on ICE 』

熱血アニメ列伝その33 僕が勝つって僕より信じてよ!『 ユーリ!!! on ICE 』

皆さん、今年(2018年)の冬季オリンピックはご覧になっていましたか?って、いきなりあにぶのコラムでこの言葉から始まるのはどうかとも思わないでもないですが(笑)。

男子フィギュアスケートで2連覇を達成した羽生結弦選手の素晴らしいパフォーマンスに感動して、一気に見た今回の作品にはどうしてもこの話をしない訳にはいかないので。こんな導入になってしまいました。

羽生君のフィギュアスケートで熱い気持ちにさせられたまま、全12話を3日足らずで一気に見た、今回の作品とは!特に女性に大人気の『 ユーリ!!! on ICE 』です!

スポーツものは、基本的にどんな作品でもよっぽど熱いですが、今回のこの作品は、(女性向け人気の高いという評判がありながらも)まあちゃんと熱くて。

「新時代のスポーツアニメ」のようにも思えましたが。とにかく、まずはいつもの通りあらすじから行ってみましょう!

勇利!今日から俺はお前のコーチになる!そしてグランプリファイナルで優勝させるぞ!『 ユーリ!!! on ICE 』のあらすじ

熱血アニメ列伝その33 僕が勝つって僕より信じてよ!『 ユーリ!!! on ICE 』

主人公「勝生勇利(かつきゆうり)」は、23歳のフィギュアスケート特別強化選手。物語冒頭では、いきなり彼はグランプリファイナルで最下位になってしまうという、ボロ負けの結果を出してしまいます。

彼はかなりの実力の持ち主ではあるのです(ここで負けたものの、この大会は出場選手6人。つまり世界のトップ6)。

が、勇利はメンタル面ではかなりの弱さがあり、このボロ負けした試合、グランプリファイナルも自身の実力よりもその精神的な弱さが原因でした。

失意のまま、故郷である九州の長谷津(はせつ)に戻り、実家が経営している温泉旅館「ゆ~とぴあ かつき」で、今後の身の振り方を考えようとする勇利。

悶々とした日々を送る彼でしたが、地元のホームリンクである、幼馴染の西郡(にしごおり)夫婦の妻、優子さんが働いている「アイスキャッスル はせつ」で、ある日とあるスケーティングをします。

その内容は、勇利が憧れる、世界選手権5連覇を成し遂げている「リビング・レジェンド(生きる伝説)」と呼ばれるフィギュアスケーター「ヴィクトル・ニキフォロフ」のプログラムでした。

実は優子さんに秘かな憧れを持っていた勇利は、彼女に自分のこのスケーティングを見てもらいたい一心で滑っただけなのですが、このプログラムが彼の運命を大きく変えていきます。

優子さんの娘である三つ子の三姉妹(スケートオタクでSNS好き)が、その滑りを全て録画していて、これをネット上に(勝手に)アップ。全世界に瞬く間に拡散されていき、その拡散はヴィクトル本人にも届いてしまったのです。

ヴィクトルは、勇利のその滑りに自身の落ちかけていたモチベーションをあげさせるような「雷のようなイマジネーション」を受けた事で、勇利のコーチになる事を決め、突然「ゆ~とぴあ かつき」に現れます。

突然ヴィクトルが現れた事で現実を受け入れられない勇利に、ヴィクトルはこう(温泉につかってたので、全裸で!)告げます。

「勇利!今日から俺はお前のコーチになる!そしてグランプリファイナルで優勝させるぞ!」と。

ヴィクトルを追いかけてきて、「もう一人のユーリ」であるロシア人の天才的少年フィギュアスケーター(妖精のような美貌の少年ですが、口を開けばガラの超悪いロシアンヤンキー)「ユーリ・プリセツキー」も来日。

ユーリはヴィクトルが自分のプログラムの振り付けをする約束を果たしてもらう為に、ヴィクトルをロシアに帰らせる為に来たのですが、ヴィクトルはのらりくらりとはぐらかします。

そして、ヴィクトルが勇利のコーチをそのまま続けるのか?ロシアに戻ってユーリ(ややこしいので、彼は勇利の周りの人からは「ユリオ」と呼ばれてます)のコーチになるのか?それを賭けたスケート勝負が始まることに!

勇利とユリオ、勝つのはどちらの「ユーリ」なのか?こうして、2人の「ユーリ」とヴィクトルのその年のグランプリファイナルまでの熱い戦いが始まるのでした。

メンタル最弱な主人公の成長の秘密は愛?ヴィクトルとの絆が熱い!

熱血アニメ列伝その33 僕が勝つって僕より信じてよ!『 ユーリ!!! on ICE 』

『 ユーリ!!! on ICE 』のあらすじ、いかがだったでしょうか?

主にSNSなどの話題としては、かなり女性寄りの人気が高い今回の作品。実は少しだけ見る前は「自分が熱いと思えるのか?」という不安もあったのですが、なかなかどうして、ちゃんとスポーツ物らしい熱さを感じる作品だと思いました。

以前書いた『プロゴルファー猿』のコラムでも書きましたが、スポーツ物のアニメや漫画では、あまり悪人的な人物が出ずに、ライバルと言っても案外良い人が多かったりで。見た後のさわやかな気持ちになるのは本当に素晴らしいですね。

今回の『 ユーリ!!! on ICE 』の中でも、ほとんどのキャラクターが皆とても良い人で。

「もう一人のユーリ」である、「ユリオ」こと「ユーリ・プリセツキー」は、最初の登場シーンで勇利をいきなりなじるなど、かなりガラの悪さを見せたりもしますが。

その勇利にも、悪態つきながら、ユリオ君のおじいちゃんが作った、カツ丼風ピロシキを勇利に食べさせたり、ジャンプを教えたり、優しいそぶりを見せたりして、「案外根は良い子なのね……」と思ったりもしましたね。

そんな優しい登場人物たちが、その中で「自分がトップになる!」と熱い気持ちを持って必死にスケーティングをする様を、丁寧に描写しているこのアニメが熱くない筈がない!と、見ている内にどんどん思うようになってきました。

そして、ネタバレになるので多くは語れませんが、最終的な結末が、ある意味で今までのスポーツ物のセオリーを壊す「リアル」な展開を迎えているのは、コラム冒頭でも書いた、「新時代のスポーツアニメ」という印象を強く持った理由の一つですね。

そんなこの作品の一番の「熱血ポイント」としては。スポーツ漫画・アニメの中でも確実にトップクラスの「メンタルの弱さを持つ主人公」である勇利が成長していき、強くなっていく描写だと思っています。

ビジュアルにせよ、声やら雰囲気やら『新世紀エヴァンゲリオン』の「碇シンジ」君に通じるところのある勇利君。大抵のスポーツ物の主人公はどちらかと言うと「メンタル鋼」的な人物が多いと思いますが。彼はそれとは真逆の性格と言って良いでしょう。

しかし、彼が時にヴィクトルとぶつかり、時にユリオや他の選手への対抗心を燃やして、精神的にどんどんと成長していく様は十分に「燃える展開」!と言えるのではないかと思います。

その勇利の成長の、つまりはこの作品の最も熱い部分の一番の鍵、と言えば。なんと言っても「ヴィクトルとの絆」という話になるのでしょう。

熱血アニメ列伝その33 僕が勝つって僕より信じてよ!『 ユーリ!!! on ICE 』

勇利はメンタルが弱く、前年のグランプリファイナルのボロ負けはそれが一番の原因となっていました。しかし、そのメンタルを、ヴィクトルが時に励まし、時に突き放したりして試合に臨ませることで、勇利は「戦う心」を得ていきます。

そんなヴィクトルの指導は、単純にコーチと教えられる選手以上の絆があるからこそ、成立している部分も多々あるのではないか、という印象も持ちました。

「勇利がメンタル最弱のスケート選手」であるからこそ、2人の絆が力になり、勇利が成長していき、選手としての強さが描写されてるのは、「主人公の成長」という熱血ポイントをより際立たせているようにも思えました。

主人公の成長って、どんな形でも「熱血」の王道、みたいなところがありますものね。

しかし、一方でこの「絆の描写」を語る上で、SNS上等で話題になった、「2人の同性愛的描写」は無視出来ないファクターになっているようにも思えます。

今回のコラムタイトルにも引用した「僕が勝つって僕より信じてよ!」という台詞も、前後に勇利がボロ泣きしていたり。グランプリファイナルの前に2人でエンゲージリング的な指輪をしていたり。

人によっては、あるいはこの2人の「同性愛っぽい描写」は、嫌悪感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。(実際、そんな発言をSNSで拝見した事があります)

公式でそれを特に肯定も否定もしていませんが、個人的には「別にこの2人が同性愛的な間柄でも別に作品の主旨は変わらないよな」という思いを抱きながら見ておりました。

今時、愛の形なんて異性愛だけが正しいってのもナンセンスですしね。

そこには、同性愛的な意味があろうがなかろうが、「2人の絆が育まれている」という部分において、根本のところでは何も変わらないんじゃないだろうか?だからこそ、見ている者の胸をこんなにも熱くさせる作品になりえているのではないだろうか?

そんな事を視聴していた時に色々と考えさせられた、今回の作品『 ユーリ!!! on ICE 』でした。

リアルに影響?未来のフィギュア界はこの作品が変える!

 

さて、色々と『 ユーリ!!! on ICE 』の熱い部分について語ってきましたが、最後にこの作品が、「リアル」に与える影響について語っていきたいと思います。

今回の冬季オリンピックに出場したフィギュアスケーターの中でも、国内外、男女を問わず、この『 ユーリ!!! on ICE 』のファンである事を表明している方が多数います。

『美少女戦士セーラームーン』のコスプレや内容をオマージュさせたプログラムを実際に披露したエフゲニア・メドベージェワ選手も、本作品の大ファンを公言しており、キャラ原案の「久保ミツロウ」先生とのツイートでのやり取りなども話題になりました。

更に、今回(2018年)冬季オリンピックにおいても、2月9日に行われた、フィギュアスケート団体戦、ショートプラグラムにおいて「須崎海羽」&「木原龍一」ペアが『 ユーリ!!! on ICE 』の勇利がフリーで使用している楽曲「Yuri on ICE」を使用。

ネットなどで大きな話題になりました。それ以外では、そこまで大きな報道はされていませんが、かなりのフィギュアスケート選手が本作品を実際に視聴して、高評価をつけているとか。

現在進行形で、フィギュア界に大きな影響を与えている本作品ですが、個人的には未来のフィギュアスケート界をもしかしたら大きく変えてしまう作品になるのかな?なんて事も考えました。

かつて大ヒットした『キャプテン翼』を見たサッカー少年達が、リアルにJリーガーになったりしているように。

この作品を見た少年少女が、将来のフィギュアスケートの世界で大きく羽ばたいてくれるかもしれない、と思うとこの部分こそが実は一番のこの作品の「熱血ポイント」なのかもしれないな、という気すらするのです。

そんな本作品は各種配信サイトなどでも絶賛配信中。自分もdアニメストアで全編視聴しました。是非、まだの方は視聴してみてくださいね。オリンピックの興奮が冷めやらぬ今は特に!見ていてボルテージもあがると思いますし!

今後も劇場版新作が決定している『 ユーリ!!! on ICE 』。作品中の言葉的に言うと『 ユーリ!!! on ICE 』だけを見ていて……!という感じで、まだまだファンにとっては目の離せない作品と言えるでしょう。

熱血アニメ列伝 はまだまだ不定期更新中! 各列伝も是非チェックして下さい!

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