前回のブラクロ。
ゾラのエピソード。
強くなるための手段
深夜。
バネッサ「私もみんなも、スペード王国に、悪魔に対抗するために特訓をしている。だけど、このままじゃあの力には遠く及ばない」
ダイヤモンド王国の魔道士たちを蹴散らした者のことを思い出します。
バネッサ「やり方にこだわっている場合じゃないわよね」
バネッサ姉さんが出かけようとすると、ヤミ団長がひとりで酒をのんでいました。
ヤミ「こんな時間に出かけても、開いてる店ねーだろ」
ヤミ「まあ座れよ」
好いているヤミ団長からの呑みの誘い。
けれど、バネッサは出かけます。
ヤミ「無茶すんなよ」
バネッサ「はい。すぐ戻ります」
普段は適当にやっていても、仲間のことをちゃんと見ているヤミ団長。
魔女の森へ
バネッサ「頼みたいことがあるんだけど」
バネッサは姉さんは、故郷である「魔女の森」に住む魔女王の元へとやってきました。
かつてはバネッサを束縛し、その力を自分のため、森のために利用しようとしていた魔女王。
けれど、今の魔女王はバネッサの気持ちを認め、故郷を離れることを許しています。
バネッサ「私と、私の仲間たちを強化する方法を教えてほしいの」

魔女王にはあまりいい思い出のないバネッサ姉さん。
それでも、エルフ並かそれ以上の魔力を持ち、古代魔法にも精通した魔女王の実力は超一級品。
仲間を失わせないため、悪魔に対抗するため、バネッサ姉さんは魔女王にお願いしにきたのです。
魔女王は、クローバー王国の現状と、ダイヤモンド王国を襲ったスペード王国の力を知っていました。
さすがは魔女王。なんでも知っていますね。彼女はリヒトと剣魔法のことも知っていましたし。
魔女王の条件

魔女王「あなたは運命を変える力を持っている」
と魔女王は言いますが、バネッサ姉さんは、ルージュの力は魔力が尽きたらおしまいなことを理解していました。
チャーミーパイセンの魔力回復料理もありますが、食べ続けるのにも限界はあります。
バネッサ姉さんの魔力自体はそこまで高くはありません。
だから、魔女王の知っている古代魔法を教えてほしい。
バネッサ姉さんは頼みました。
魔女王「たとえあなたが私の魔法を使えるとしても、意味があるとは思えない」
魔女王「あなたは考え違いをしている」
勿体ぶりますが、
魔女王「力を与える方法がないわけではない。ただし、1つ条件をのんでもらうわ」

魔女王のいう条件とは、2人の魔女サマンサとエルヴィアと共に、対スペード用の警備ゴーレムの問題を処理することでした。
ゴーレムは魔獣と人間を識別することができないため、魔獣をどうにかしないといけなかったのです。
サマンサとエルヴィア
ところが、気弱なサマンサと、一見強気なエルヴィア。
2人は「魔女の森」襲撃時に震えていただけの、落ちこぼれ扱いを受けている魔女でした。

エルヴィアは音を出し、サマンサは幻影を創る魔法が使えます。
しかし、それだけ。
エルヴィア「私みたいな役立たず」
と、2人は自分に自信がありませんでした。
なんのために魔法を使う
バネッサ「手助けがあの2人だけじゃ無理よ」
バネッサ姉さんは魔女王に言いますが
魔女王「戦になれば、遊ばせておける者などいない」
と、魔女王。
バネッサ「戦力として使えるところまで鍛えろってこと? そんなのいつまでかかるか」
バネッサ「わかったわ。最初からそういう魂胆なのね」
魔女王「なんのことかしら?」

できもしないことを条件に出し、バネッサ姉さんを諦めさせようとしている。
と、バネッサ姉さんは考えました。
魔女王「あなたはなんのために魔法を使うの?」
けれど、魔女王は言うのでした。
森の魔女たちも、エルヴィアとサマンサのことを見下し、落ちこぼれ扱いしていました。
誰も2人がまともになるとは思っていません。
魔女たちの噂話を聴き、そのことを理解するバネッサ姉さん。
使い方次第
次にバネッサ姉さんは、森で魔道具を売るドミナントさんと再会。
かつてはダイヤモンド王国に所属し、脱走して「魔女の森」で共に戦った人物です。

ドミナントさんの売る微妙な魔道具たちをみて、
「役に立つかわからないものなんて、買うわけないじゃない」
とバネッサ姉さん。
けれど、ドミナントさんはどんな道具も使い方による、と言います。
魔女王も森にすむ魔女たちを束ね、一人でずっと森を守っています。
「それと同じよ」
とドミナントさん。
どんな魔法でもあきらめなければ、使い方次第では
翌日。
バネッサ姉さんは森に住まう魔獣のことを調べ上げ、誘導して追い払う作戦を考えました。
バネッサ姉さんは、自分の糸魔法に、2人の魔女の「音」「幻影」を混ぜ、喋って動く人形を作り子供たちを笑顔にしてみせます。
バネッサ「私もあなた達と同じだった」
バネッサ「思い出して。はじめて魔法を使った時のことを」
バネッサ「なんのために魔法を使うのか」
バネッサ姉さんが魔法を使うのは、みんなの笑顔のため。
今は、仲間たちを護るためでもあります。
バネッサ姉さんは、どんな魔法も使い方次第だと証明するために、3人で魔獣を誘導していきます。
小型魔獣の幻影を糸で操り、鳴き声を出させながら獲物にみたて、大型魔獣に追いかけさせます。
トラブルで大型魔獣に見つかってしまった後も、2人を信じ、巨大な魔獣の幻影に叫ばせ追い払うことに成功しました。
その光景を、なんと魔女王が魔法で魔女たちみんなに見せていました。
魔女たちは、落ちこぼれだと思っていたサマンサとエルヴィアの凄さを知り、集まってきます。
魔女王は2人を戦力になるほど強化するのではなく、諦めずに頑張り続ければ、どんな魔法も使い方次第では凄くなる、ということを教えたかったのかもしれません。
自分の魔法で戦う決意
バネッサ「私は強力な魔法を教わりに来た。でも、もういいわ」
魔女王「どうして?」
バネッサ「私の魔法のいい使い道を考え続ける」
そして、そのためにも魔力量を上げる。
それがバネッサ姉さんの見つけたこたえでした。
バネッサ「私が選んで、自分の運命を変えた。これからも私はきっと最悪な運命をかえていける」
運命を変えるルージュの力も、バネッサ姉さんとアスタたちが諦めなかったから、本当に運命を変えることができたのです。
魔女王「ではもういきなさい。ここに用はないはずよ」
なんだかんだで面倒見のいい魔女王。バネッサ姉さんは答えに気づくきっかけをくれたドミナントさんにもお礼を言って、魔女の森を後にしました。
バネッサ姉さんが戻ると、アジトではヤミ団長が待っていました。
ヤミ「おかえり」
バネッサ「ただいま」

というわけで、付け焼刃の力より、自分の力を理解しうまく使えれば結果は出せる、という話でした。
どんな魔法にも可能性はある。それを知る魔女王は、ユリウス魔法帝と話が合いそうです。
それにしても魔女王、どこまで凄いのか。実力もユリウスクラスなんじゃ……。